サットヴァ・タマス・ラジャスとは

今日は、サットヴァ・タマス・ラジャスとは何かについて説明します。インドには様々な哲学の流派が存在しますが、その中で、サーンキヤ哲学においては、この世界はプルシャとプラクリティによって成り立っているという考えがあります。

以前、プラクリティについて少し書いたことがあります。

プラクリティとヴィクリティ

プルシャとプラクリティ

プルシャとは、真我のことを指し、何があっても不変の存在とされています。プラクリティとはプルシャ以外の物事で、常に変化するものです。

人間を例にとってみましょう、私たちの心の中には、常に冷静に外の世界を「眺めている意識」が存在します。ヨーガスートラ(ヨガの教典)では、プルシャのことを「変化を観る存在」と言っています。

心身(体質を含め)はプラクリティです。プラクリティは変化します。悲しくなったり、またある時は嬉しかったり、髪が伸びたり、お腹が痛くなったり、疲れて眠くなったりしますね。でも、そんな変化する自分の心身の状態を、心の中で常に変わらず見つめているもう一人の自分がいます。それがプルシャです。

トリグナとは

グナは、サンスクリット語で性質という意味を持ちます。グナは、プラクリティを構成する要素です。グナにはサットヴァ・タマス・ラジャスという3つの性質があります。これをトリグナと言います。

サットヴァ(純質)

純粋、調和を意味します。穏やかで平和なバランスが取れている状態です。創造的で向上心に満ち、進化、前進、進歩へと向かうエネルギーです。サットヴァは、本能的に自然と調和し、バランスを回復する方向へと私たちを導いてくれます。

タマス(暗質)

惰性、無知を意味します。やる気がなくバイタリティーに欠ける状態です。現状維持を好み、行動や変化を嫌います。無難な方法を選び、波風を立てないようにしようとします。エネルギーの停滞を招きやすいです。サットヴァとは正反対の意味を持ちます。

ラジャス(激質)

激動、動性を意味します。心はいつも揺れ動き、性格は短気で、衝動的な傾向があります。ラジャスは、進化したいというサットヴァと、今のままでいたいというタマスとの間で揺れ動き、自分にとって利益になる行動をしようとします。

サットヴァを増やそう

サットヴァを増やしていくと、自然と調和し、健康で幸せな人生を生きていくことが出来ます。日々の生活の中で、心にアーマ(毒素)が溜まってきても、サットヴァが自然とそれらを回復しようという力が働くからです。

サットヴァを増やすには、日々の生活の中で、質の良い食事や水をとり、十分な睡眠をとることが大切です。心を明るく保つには、十分な休息をとりましょう。そして、できるだけ自然の中で過ごすようにしてください。

周囲の人に対して、寛大に、やさしさや思いやりの気持ちを持って接し、相手の良い面を見るようにしましょう。贈り物をしたり、ほめてあげたり相手の喜ぶことをしましょう。

朝は日の出とともに起床し、日没を眺めて過ごし、満月の夜には月明かりの下を散歩すると良いそうです。